はじめに… 2019年クリスマスイヴに出版された一冊の絵本『そらまめかぞくのピクニック』。作者は、小児がんのため同年1月に12歳で亡くなった少女、森上翔華さん。 広島県福山市で生まれた翔華さんは、5歳のとき左足に悪性の腫瘍がみつかり、入退院を続けてきました。つらい抗がん剤治療で髪が抜けても、闘病の辛さを表に出すことなく、みんなを笑顔にしたくて、いつも自分も笑顔を絶やさなかった翔華さん。明るく前向きな彼女の言動から、みんながたくさんの元気をもらっていたのだとか。 絵本は、翔華さんが病床で約3ヶ月をかけて完成させたという入魂の作品です。「希望や元気を与えてくれるこの絵本を多くの人に読んでもらいたい」と、翔華さんの死後、彼女を支え続けた岡山大学病院の看護師や保育士らが、出版を実現。この絵本との出会いが、この映画が生まれるきっかけとなりました。
翔華さんの存在と絵本のニュースを知り、「幼いながらもたくましく生きた翔華さんの生き様を、映画として伝えたい」と考えたのは、プロデューサーのとめぞう(一般社団法人「海と空キネマ」の代表で俳優・タレントとしても活躍)。翔華さんのご両親に映画化を相談し、了承を取り付け、取材を重ねて、限られた時間をめいっぱい楽しもうとしていた翔華さんのエピソードをふんだんに盛り込んだ、コメディタッチのヒューマンドラマをつくり上げていきました。
『ベースボールキッズ』(文部科学省選定品、2003年)の渡辺健一ほかが共同プロデューサーとして参加。知られざる特攻機「桜花」の悲劇を描いた『サクラ花~桜花最期の特攻~』(2015年)や、『祈り~幻に長崎を想う刻(とき) 』(2020年)などで、命の尊さに向かい合ってきた松村克弥監督がメガホンを取ります。
笑顔が魅力的な森上翔華役を演じるのは、オーディションで圧巻の演技力を見せ、主役の座を射止めた新倉聖菜。映画初出演にして堂々の初主演を務めます。隠れた主人公ともいえる主治医の脇坂和美役を演じるのはドラマ、映画で活躍中の北原里英。布川敏和と渡辺梓が、翔華を愛情いっぱいに育てる父親役と母親役を人間味あふれる演技で好演しています。また、『TEAM SHACHI』のメンバー秋本帆華と坂本遥奈、人気インフルエンサーで女優の大関れいか、人気上昇中のユニット『原因は自分にある。』の小泉光咲、『Shibu3 project』の上村佳里奈など話題の若手が出演。翔華の親友役に翔華の実際の親友で、2018年スタースカウト総選挙にてグランプリを受賞した夢空(むく)がキャスティングされているのにも注目です。他にも、松村組の常連俳優・城之内正明、翔華の入院仲間・源さん役に松竹新喜劇の看板スター、曽我廼家寛太郎(そがのやかんたろう)、さらに翔華が通う小学校の校長役で高畑淳子、謎の美女に竹下景子という実力派俳優が脇を固めています。
病に支配されることなく、自ら人生を創っていったわずか12 歳の少女の人生から生まれた元気あふれるハートフルストーリー。
笑って、笑って、最後に心から泣ける、感動の